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単体システムの構築
1998/09/25 更新以下の解説は公式のインストレーションガイドに代わるものではなく、単なる補足である。
Plan9 お試し版
Plan9をトライしてみたければ、CD-ROMを買う前に、Plan9のお試し版をダウンロードして、手持ちのPCで動作するか否かを確認するのがよい。CD-ROMを買って持っていたとしてもダウンロード版から始めた方が良い。PCの世界は非常に変化が速く、CD-ROM版はもはや古くなっている。CD-ROM版では動作しなくても、お試し版で動作する事がある。 お試し版で動作すれば後は何とかなる。
お試し版はBell研(
ftp://plan9.bell-labs.com/plan9/pcdist/) から直接取り寄せるか、
私の ftp サーバ( ftp://plan9.aichi-u.ac.jp/disk/)から取り寄せる。
お試し版は4つのファイルから構成されている。
disk1
これらのファイルから4枚のMS-DOS形式のFD(3.5インチ1.44MB)を作成する必要がある。
そのために、まず初めにMS-DOSでフォーマットした4枚のFDを作成し、以下の手順を踏む。
disk2.vd
disk3.vd
disk4.vd
1. Disk-No.1 の作成
disk1
はFDのイメージそのものなので、UNIXのdd
コマンドを適用する。例えば NEXTSTEP3.3 で作成する場合には次の様になる。
dd if=disk1 of=/dev/rfd0b
その結果MS-DOS形式のFDがブートセクターを含めて作成される。
2. Disk-No.2 の作成
disk2.vd
はMS-DOSのファイルとなるようにコピーして作成する。
3. Disk-No.3, Disk-No.4 の作成
Disk-No.2 と同様に作成する。
ハードディスクの選定
お試し版の Disk-No.1 は MS-DOS のファイルシステムに Plan9 の為のファイルを幾つか作成する。これらのファイルはディレクトリ C:¥PLAN9 に置かれる。これらのファイルは Plan9 のファイルシステムを作成したり、そこへアクセスする為に使用される。現在のお試し版はハードディスクの容量が 4GB 以下である事を前提としている。 この容量を越えたハードディスクにインストールした場合には何が発生するか分からないと思った方がよい。(この問題は近々克服される予定である。)
お試し版をPCにインストールする前にハードディスクに空き領域を作成しなくてはならない。Plan9はこの空き領域にswapパーティションも作成し、その大きさはメモリの量に比例する。64MBの私のシステムではswapパーティションは92MBにもなっている。これに4枚のFDの分がさらに必要になる(これは20MB程度見積もれば十分)。大抵の場合ハードディスクは既に他の OS のファィルシステムで一杯である。この場合にはファイルを整理して空き領域を作成する必要がある。
安全性を考えると、むしろ不要になった SCSI のハードディスクを1つ準備するのがよい。もしも MO を持っているなら、MOにインストールするのもよい。 MOは128MBのもので間に合う。
PC カード
PC を Disk-No.1 によって立ち上げるとインストレーションが始まる。しかしその前に 行う事がある。- ISA カードは PnP を無効にする事
- SCSIカード、etherカードはカードに付属する診断プログラムで予め診断する事
-
CONFIG.SYS
の余分なドライバはできるだけ削除する事。そうしないとB.COM
の実行時に干渉する。
CONFIG.SYS
を出来るだけ削ったFDを一枚用意し、そのFDから立ちあげている。
インストレーション
インストレーションはメニュー形式なのでそれほど難しくはない。最初は欲ばらないで vgasizeは小さい方から徐々に上げて行くのがよい。Disk-No.1 を実行すると HD のMS-DOSの領域にディレクトリ
¥PLAN9
が作成される。
その下に PLAN9.INI
があるのでこの内容をメモしておくのがよい。b.com
を実行した時に Plan9 のインストレーションメニューが立ち上がるか、それとも Plan9が立ち上がるかを決めているのはPLAN9.INI
の中の
bootfile変数
である。
bootfile=hd!0 --- メニューが立ち上がる bootfile=h!0 --- Plan9が立ち上がる
サポート されているデバイス
現状では Plan9 がサポートするデバイスは豊富とは言えない。 Plan9 FAQ にはサポートされているデバイスの一覧がある。しかし FAQ は何故かアップデートされていない。実際には、ここに載っているより多くのものが動作する。
立ち上げ
さて MSDOSからのコマンド
C> PLAN9¥B
を発行すると、例えば
11285 free pages, 45140K bytes, swap 213460K, highwater 2256K, headroom 2820K
CPU is a 167 MHz Pentium (cpuid: ax 543 dx 8001bf)
ether0:WD8003: port 280 irq 10 addr 800d0000 size 16386 width 16:0000c021657a
scsi0: aha1542: port 330 orq 11, dma 5
root is from (local, 9600, 19200, il)[local!#H/hd0fs]:
と表示される。使用しているデバイス情報が表示されている事に注意する。
最後の行はファイルシステムのルートとして何を使用するかを問合わせている。
単にリターンキーを打てば local 即ち、local!#H/hd0fs
が使用される。これは
IDEのPlan9パーティションである。
user[none]:
でログイン名を入れる。単にリターンキーを打てはユーザ none で入ることになる。ユーザ none は Plan9 では匿名のユーザでありパスワードなしで使用できる。
スタンドアロンシステムでは実は任意のユーザ名でログインでき、パスワードは要求されない。すなわち礼儀正しくシステムが使用されることが想定されたセキュリティのないシステムである。
インストレーションの最初の段階は user none で入って(パスワードはいらない)
ウィンドウが表示されれば完了である。
VGA
PCのVGAチップセットがそのままサポートされていれば問題はないが、大抵の場合は自分でVGAをセットアップしなくてはならなくなる。Plan9はメモリ上のVGAカードの情報が書かれている領域を調べる事によってVGAカードの種別を認識する。不明な時はその領域をダンプしユーザに/lib/vgadb
データの追加を促す。/lib/vgadb
の中を見れば大体の方法が分るはずである。/lib/vgadb
への書き込み保護を外すにはdisk/kfscmd allow
を実行すればよい。
ユーザ登録
スタンドアロンシステムでは、ユーザの登録は一般的に以下の手順をとる。(登録するユーザ名を alice とする。) term% /sys/lib/kfsuser alice
term% disk/kfscmd user
注釈: /usr/alice/lib/profile
のオーナーシップがおかしいがこれはバグであろう。